ジョジョ第5部 黄金の風編

基本情報 作者:荒木飛呂彦 掲載誌:週刊少年ジャンプ(集英社) 発表期間:1995年52号〜1999年17号(全155話) 単行本:全17巻(47 - 63巻) TVアニメ:2018年10月〜 今度の舞台はイタリア 『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』(以下、5部)は、前作にあたる4部が日本の地方都市・杜王町を舞台としていたところから一転、歴史とファッションとグルメの国、イタリアを舞台に物語が繰り広げられます。ちなみに舞台をイタリアにした理由について作者・荒木飛呂彦は「イタリアが好きだから」と語っている。 宿敵DIOの息子、という異色な主人公 第1部の主人公は英国紳士ジョナサン・ジョースター、第2部の主人公はのちに不動産王となるジョセフ・ジョースター、第3部の主人公は高校生の空条承太郎、第4部の主人公は不良高校生の東方仗助。そして5部の主人公となるのは歴代主人公の中でも一番若い、15歳のジョルノ・ジョバーナである。なお、歴代主人公に踏襲されてきた「ジョジョ」というニックネームでジョルノが呼ばれることは一度もない。 ジョルノの母親は日本人で、ジョルノも本名は「汐華初流乃(しおばなはるの)」であった。父親はなんとジョースター一族と長きにわたる宿命の戦いを繰り広げてきたあの吸血鬼DIO。そのため、スタンド能力に目覚めたジョルノは父ゆずりの金髪となり、ラッシュ攻撃時には「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」と叫び、ヒートアップすれば「WRYYYYYYYY…(ウリィーーー…)!!」と咆哮をあげる。まさに血の運命(さだめ)。しかし、それ以外に共通点はほとんどなく、吸血鬼としての身体的特徴も見られない。 DIOの息子、という忌まわしい生まれを持つジョルノの幼少期は、実の母親に放って置かれ、義父からは暴力を受け、同級生からはいじめられるという散々なものであった。しかし、ある日たまたま助けたギャングの男から人間としての道を学んだジョルノは、彼を目標に「ギャングスターになる」という夢を持つようになる。 ジョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)」の能力は”物体に生命を与える”というもの。他部と比べ圧倒的に死亡率の高い5部だが、このジョルノの能力によってかろうじて死を免れる場面も多々あった。 ちなみに、ジョルノのモデルはダビデ像だそう。ちなみのちなみに、歴代ジョジョは眉毛が太かったがジョルノは眉毛が細く、作者曰く「とても難しかった」とのこと。 ボスの娘を命がけで守る護衛チーム 5部においてもうひとりの主人公ともいえるのがジョルノが加入するチームのリーダー、ブローノ・ブチャラティ。個性的なファッションが多いジョジョ世界の人物ですが、ブチャラティのおかっぱヘアもかなりのインパクト。作者曰く「ファッションなどに中性的な要素を入れたかった」とのこと。ジョルノと初めて対面したシーンでいきなりジョルノの汗をなめ読者の度肝を抜いたブチャラティだが、20歳の若者とは思えないそのカリスマ性と魅力は主人公のジョルノを凌ぐほどで、ギャングながら正義を貫きボスとの対決を決意するシーンは胸を打つ。くせ者ぞろいのチームにおいてメンバーから絶対的信頼を寄せられるブチャラティはまさに”男が惚れる男”である。 「覚悟はいいか? オレはできてる」「任務は遂行する、部下も守る。お前ごときに両方やるというのはそうムズかしい事じゃあないな」などとにかく名言も多い。ラッシュ攻撃時の掛け声は「アリアリアリアリ…アリーヴェデルチ(さよならだ)」。スタンド「スティッキー・フィンガーズ」のジッパーを操るという能力は、ローリング・ストーンズのアルバム「スティッキー・フィンガーズ」のジャケット写真にジッパーが使われているのを見て着想を得たそう。 レオーネ・アバッキオはブチャラティの右腕的存在で、元汚職警官。自分を救ってくれたブチャラティに対する忠誠心は誰よりも強い。入団したばかりのジョルノに振る舞った通称”アバ茶”の印象が強すぎてネタにされがち。ちなみにアバッキオの頭部に乗っているものは「帽子のようなもの」らしい(作者談)。ボスに致命傷を与えられながらもボスの正体に関する重大な手がかりを仲間に残したアバッキオの魂が、過去のトラウマから解き放たれ安らかに天に昇る「今にも落ちてきそうな空の下で」は神回が多い5部のなかでも特にファン人気が高い。スタンドは特定の人物などを動画のように再生できる「ムーディー・ブルース」。戦闘能力はあまり高くなく、おそらくアバッキオ本人の方が強い(作者曰く「チーム内で一番腕っ節が強い」)。 ムードメーカーのグイード・ミスタはとにかくポジティブかつシンプルな思考と強運の持ち主。数字の「4」を異様なまでに嫌っている。好物はイチゴのショートケーキ。何度も死闘を繰り広げ、「さすがにミスタもうだめだ」と読者を何度も絶望させたが最終的に生き残った。拳銃の名手で、その才能に目をつけたブチャラティにスカウトされチームに入った。新入りのジョルノをいち早く受け入れ、ジョルノのカリスマ性に気づき、最終的にボスとなったジョルノの側近となる。スタンドの「セックス・ピストルズ」は6人からなる群体型スタンドで、ひとりひとりが個性を持ち、本体であるミスタと連携しながら戦うという非常に特殊なスタンド。プロシュート&ペッシ戦では本体のミスタが瀕死状態となるもピストルズが活躍し、ミスタとブチャラティを救っている。 もう一人のムードメーカーがナランチャ・ギルガ。過酷な幼少期を感じさせない明るい性格だが教養がないことがコンプレックスで、馬鹿にされるとキレる。普段はおちゃらけており、仲間内からも軽く見られているところがあるが、いざ戦闘となると頭を使った戦い方をする。ブチャラティを盲目的に信頼しており、自分でなにかを決断することが苦手。そのためボスを裏切ると決意したブテャラティに「自分で決めろ」と突き放された際は懊悩した。そんなナランチャが自らの意思で決意するシーンは涙なしでは読むことができない名シーン。だが最終決戦で命を落とした。プロペラ戦闘機型スタンド「エアロスミス」を操り、偵察や戦闘で活躍した。ラッシュ時の掛け声は「ボラボラボラボラ……ボラーレ・ヴィーア(飛んでいきな)」。 高い知性を持ちながらもキレやすいパンナコッタ・フーゴは、非常に危険なスタンド「パープル・ヘイズ」の持ち主。敵味方関係なく毒に感染させるスタンドはあまりに凶悪で、作者も「扱いが難しかった」と語っている。浮浪児だったナランチャをブチャラティのところへ連れて行き「こいつにスパゲッティを食わしてやりたいんですが、かまいませんね」と言い放つシーンは印象深い。ボスへの裏切りを表明したブチャラティに「理想だけでこの世界を生き抜くことはできない」と反対意見を唱え、ただひとり袂を分かった。作者によると当初はフーゴを裏切り者にする予定だったそうだが、ストーリーが暗くなりすぎることを懸念して意見の相違という形になったらしい。 そんな彼らが守るのがボスの娘トリッシュ・ウナ。なにも知らない無力な少女は物語が進むにつれ成長し、スタンド能力にも目覚め自ら過酷な運命と戦うようになっていった。 栄光はわれらの手にーーボス暗殺を企む暗殺チーム 主人公の護衛チームと人気を二分するのが敵である暗殺チーム。ギャング組織「パッショーネ」における暗殺専門チームでメンバーは9人。全員が高い能力とプライドを持ちながらもボスから冷遇されており、その不満からボス暗殺と麻薬ルート乗っ取りを決意する。その矢先にチームメンバーであるソルベが処刑され、輪切りにされたソルベの死体はホルマリン漬け額縁として暗殺チームの元に届けられた。なお、この衝撃的シーンはアニメでもきっちり再現され、視聴者を驚かせた。 暗殺チームのリーダーはリゾット・ネエロ。スタンドの「メタリカ」はムーミン谷のニョロニョロを彷彿とさせる群体タイプで、磁力により鉄分を操作し、敵体内の血中の鉄分を刃物などに変え攻撃することができる。ボスの第二の人格であるドッピオとの戦いは5部屈指の名バトル。 最初に護衛チームの前に現れるのはホルマジオ。自分自身や相手、ものなどあらゆるものの大きさを小さくすることができる能力を持つ(スタンド「リトル・フィート」)。剃り込みの入った坊主頭でいかつい印象のあるホルマジオだが、女性心理にくわしかったり頭脳戦が得意だったりと意外な一面を持つ。買い物に来ていたナランチャを襲撃し、追い詰めるもナランチャのめちゃくちゃな攻撃の前に絶命した。 続いてジョルノ、アバッキオ、フーゴの3人を襲撃したのがイルーゾォ。鏡を出入り口にし、敵を「鏡の世界」に引きずり込む能力を持つ(スタンド「マン・イン・ザ・ミラー」)。おさげにした黒髪が特徴的で、性格は高慢。 そしてブチャラティチームを壊滅寸前にまで追い詰めたのがプロシュートとペッシ。二人は兄貴分と弟分という関係で、その絆は強固。スタンド「ザ・グレイトフル・デッド」の老化能力を使って列車の乗客全員を老化させ、トリッシュを拉致しようとしたが、ブチャラティによって阻止された。ブチャラティとの死闘は数あるジョジョバトル屈指の名シーンの連続で、ファン人気が高い。瀕死の重傷を負いながらもスタンド能力を解除せず、覚悟を見せつけた。 ペッシとともにブチャラティチームを襲撃したペッシは、自信のなさから「マンモーニ(ママっ子)」と兄貴分のプロシュートに度々叱責されるような弱気な若者だったが、プロシュートの命を賭した覚悟を「心で理解」し、別人のように生まれ変わるとブチャラティを追い詰めた。しかし奮戦むなしく死亡した。スタンドは釣竿タイプの「ビーチ・ボーイ」。作者曰く「地上で釣りをしたら面白いのでは?」という発想から生まれたそう。 列車移動を阻止されたブチャラティーチームを次に襲ったのがメローネ。奇妙なマスクをした奇抜なファッションと異常とも思える言動でかなり変態度の高い人物。口癖は「ディ・モールト!」。血を利用し女性を母体として「子」である遠隔操作スタンドを生み出す、という変わった能力を持つ。ジョルノを追い詰めるも、そのことが逆に「物体から生命を生み出す」という新たな能力をジョルノが発想することになる。本体のメローネは、ジョルのがスタンドの残骸から生み出した毒ヘビによってあっけない最期を迎えた。 仲間が次々と倒されていくなか、最後に登場したのがギアッチョ。ジョジョの登場人物には珍しいメガネをかけた人物で、唐突にものすごくキレる。ボスが隠したディスクの回収に向かったジョルノとミスタを襲撃し、執拗な攻撃を仕掛け一度は2人より先にディスクの入手に成功した。しかし、覚悟を決めたミスタの捨て身の攻撃と復活したジョルノの反撃の前に散った。スタンド「ホワイト・アルバム」は超低音を作り出す能力を持ち、凍結も解凍も瞬時に行うことができる。ギアッチョ戦でジョルノが言い放った「覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことだッ!」は名言としてよく知られる。 魅力的な登場人物がほかにもたくさん! 意外なあの人も再登場!! ほかにも組織の幹部で入団試験を担当し矢によってスタンド使いを生み出していた巨漢のポルポ、マッドサイエンティストのチョコラータと元患者のセッコ、ナランチャと激闘を演じたスクアーロとティッツァーノ、いつも涙目の「涙目のルカ」などなど。 さらに4部で急成長を遂げもう1人の主人公ともいえる存在感を見せた広瀬康一も4部と5部の橋渡し役として物語冒頭に登場する。なお、最初の構想ではラストでイタリア観光中の康一が偶然ジョルノと再開する、という展開を考えていたそう。 また、読者を一番驚かせたのは3部で空条承太郎らと苦楽をともにしたジャン・ピエール・ポルナレフの再登場だろう。DIOを倒したあと承太郎が弓と矢の存在を追い戦い続けていたのと同様、ポルナレフもずっと戦い続けていたという展開は読者の胸を熱くさせた。 ラスボス中最も悲惨な最期を迎えた謎多きボス 5部のラスボスはギャング組織「パッショーネ」に君臨するボス、ディアボロ。「帝王」と称し己の絶頂と栄光を守るため徹底的に自身の正体を隠し、正体につながる危険性から実の娘トリッシュさえも殺害しようとする冷酷な人物。実は二重人格であり、もう1人の人格であるドッピオは自分のことをボスの腹心だと信じ込んでおり、ボスからの命令を待ち続ける。暗殺チームのリーダー、リゾットとドッピオ(そしてボス)のバトルは先の読めない屈指の名バトルとしてファンの間でも人気が高い。そして敵ながらドッピオの最期は胸に迫るものがある。 スタンド「キング・クリムゾン」の能力は、時間を消し飛ばす「キング・クリムゾン」と獣数秒先の未来を見ることができる「エピタフ」。 矢によって進化したジョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の前に敗北し、「死」を永遠に体感するという無間地獄に叩き落とされるという悲惨な最期を迎えた。 歴代シリーズのなかでも高い死亡率 ギャングの世界を描いているだけに5部は次々と登場人物が死んでいく。物語はわずか10日足らずの短い期間でのストーリーなのだが、主人公チームでも半数が死亡、暗殺チームは全員が死亡、ほかにも敵として登場した者はほとんどが死亡しているうえ、チョコラータ&セッコ戦では無関係な市民も大勢死亡している。 5部では特に登場人物たちがなぜギャングになったのかその理由が過去といて丁寧に描かれており、それだけに命がけで戦い、自分が信じるもののために命を落としていく姿は壮絶な印象を残す。 女性人気の高い5部の評判は? ストーリーとバトルの面白さから人気の高い5部だが、イタリアが舞台なだけに登場人物のイケメン率が高いため女性ファンからの支持が多いことも特徴。以下、アマゾンのレビューからいくつかファンのアツい想いを紹介する。 ・今までより死ぬ。だいたい死ぬ。 ・先が読めなくパージをまくる手が止まらない ・登場人物たちがはっきりとした目的のためまっすぐ生きているので、読んでいて気持ちが良い ・敵にも感情移入してしまう ・バトルが濃く熱い展開が多い ・とにかく「これぞリーダー」というブチャラティの魅力がすごい ・命の取引がヤバい最高のギャング物語 ・味方キャラが魅力的なものはもちろん、敵キャラも信念のため覚悟を決めて戦っておりただのヤラレキャラではない ・主人公がディオの息子という設定含め一筋縄でいかない面白さ ・敵VS敵というバトルの新しさ

全0戦

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元ネタ・由来
キャラクター(登場人物)やスタンドの元ネタになっている有名な洋楽バンドや映画、人物を紹介します
シリーズ
シリーズごとに収録戦いを紹介します
画像
ジョジョの奇妙な冒険の登場人物や戦いの画像を紹介します
出身国
ジョジョの奇妙な冒険の登場人物を出身国別にまとめて紹介します
話題・タグ
話題やタグごとにまとめてみることで新たな発見があります

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